アルファルファタコゾウムシの防除に関する研究 桜井宏紀
レンゲの最重要害虫であるアルファルファタコゾウムシは,ヨーロッパ原産で,中国と南米を除き世界中に分布する豆科牧草の害虫です。わが国では1982年に福岡県と沖縄県で初めて発生が確認されて以来,急速に分布を拡大し,1998年には愛知県,1999年には岐阜県,2001年には千葉県や栃木県でも分布が確認され,東北以北への分布拡大が懸念されています。本種は年1化性で成虫は夏眠と冬眠を行い,越冬明けした春の成虫は飛翔力が高く,レンゲ畑に飛来して激しく加害します1,2,3)。本種の防除対策は,アメリカでは外来の寄生蜂による防除が主体で、成果を上げています。わが国でも農水省の植物防疫所で同様な試みが行われています。しかし,寄生蜂による防除をわが国で広範囲に行うには、コスト及び時間的に制約があります。そこで緊急の防除対策として,著者らは土壌より分離した糸状菌(カビ)による無農薬防除法を検討しました。その結果,メタリジウム菌(黒きょう病菌)の高い殺虫効果が確認され,タコゾウ防除への利用の可能性が示唆されました4,5)。なお、この菌は低温下では殺虫能力が低いので,春先の菌散布は出来るだけ気温が高い晴天の日に行うことが望ましいと考えられます。また、本種のレンゲへの産卵は初冬から行われるため,今後は冬季でも有効な菌株を探索する必要があると思われます。最近、益虫のテントウムシによるタコゾウ幼虫の盛んな捕食活動が確認されており,天敵昆虫を利用した防除法についても検討することは重要と考えられます。
引用文献
1)山田芳樹・桜井宏紀・土田浩治・井上敦夫:アルファルファタコゾウムシの発育に及ぼす温度及び餌植物の影響.岐大農研報61:39-44(1996).
2)桜井宏紀・山田芳樹・岩附のり子・井上敦夫:アルファルファタコゾウムシの生活史と飛翔活動について.岐大農研報62:23-31(1997).
3)桜井宏紀・高野雅信・井上敦夫:アルファルファタコゾウムシの休眠の誘起条件について.岐大農研報64:45-52(1999).
4)桜井宏紀・高橋絵里・浅野貴博・井上敦夫:土壌より分離された糸状菌のアルファルファタコゾウムシに対する生物的防除効果.岐大農研報63:25-30(1998).
5)桜井宏紀・奥村紀子・瀬戸宏典:土壌から分離した糸状菌のアルファルファタコゾウムシに対する防除効果.岐大農研報66:23-30(2001).